Doing Nothing: A History of Loafers, Loungers, Slackers, and Bums in America

以前、アバウト・ア・ボーイの感想で、ヒュー・グラントの落ちこぼれ?オタク?っぷりに共感してしまう。
と、書いたが。その正体もまた、「Slacker」だったようだ。(またかよ、って感じですが)


Slackerと、Googleで検索してるうちに、
『働かない 「怠け者」と呼ばれた人たち』という本があることを知った。
さっそく、読んでみると、昔挫折した本だと判明。

今読むと、かなりおもしろい。
著者の息子が19歳で、テレビの前のカウチで何もしないで、
まったりしてる姿を目撃し、怒りを覚えつつも、
かつての自分もそうだった、と回想。そして、歴史的にSlackerを検証している。
さすが、転んでもタダでは起きないアメリカ人。


Amazonより目次抜粋。

第1章 カウチの上の息子
第2章 怠けものとその仕事
第3章 放蕩者/ロマン主義者/アメリカの浦島太郎
第4章 のんびり屋/共産主義者/酔っぱらい/ボヘミアン
第5章 神経症/散歩者/放浪者/フラヌール
第6章 遊び人/フラッパー/バビット/バム
第7章 ビート/反=体制順応主義者/プレイボーイ/非行少年
第8章 徴兵忌避者/サーファー/TVビートニク/コミューン・ヒッピーたち
第9章 情報社会のスラッカー―働く倫理と働かない倫理


って、まだ全部読んだわけじゃないけど。
自分があこがれてきた「放浪者」「ボヘミアン」「ヒッピー」とか、
「ビート」とか、根源は怠けることに魅力を感じている人々をさすのだ。


この著書がおもしろいのは、
単にスラッカーという怠け者に焦点をあてるだけでなく、
彼らの拒否する労働とは一体どのようなものであるのか、
ってのを浮き彫りにしてることだろう。

スラッカーというのは、現代のような意味で使われ始めたのは比較的最近で。
Slackerってのは、「兵役忌避者」ってのが元の意味。


アメリカが生み出した資本主義の裏返しとしての、
「怠けもの」は登場していることとを述べている。
ワークホリックという言葉が生まれたと同時期に、
労働を拒否したヒッピーが生まれる。

Slackerの有名人として、
息子ブッシュ大統領、故アンナ・ニコル・スミス、などがあげられている。
歴代で最も長い7週間の休暇(クリントン、父ブッシュは1週間ほど)をとった大統領らしい。
Slacker発の大統領なんて、さすがアメリカ度量がデカかった。


あと、興味深く感じたのは、
結局こうした「怠け者」を賛美、たたえるクリエイター自身は、
ワークホリック状態にあるということ。
逆に、「時は金なり」なんていうワークホリック気味らしい言葉を生み出したベンジャミン・フランクリン自身は実はかなりのルーズで怠け者な人。など、皮肉がきいてておもしろい。


何よりも、
”すべての笑いは「怠け者」から生まれる。
コメディアンは「やらなくちゃいけない仕事」を
やらないで、逃げているから笑えるのである。”だと。
なんだか、身につまされる話だ。


以下、



<スラッカー小説>

・クープランドの小説全部
・ニック・ホーンビー 「アバウト・ア・ボーイ」
・アーサー・ナーセシアン 「ザ・ファックアップ」
・デニス・ジョンソン 「イエスの息子」
・ラッセル・スミス 「あまりに鈍感な」
・マイケル・シェイボン 「ワンダー・ボーイズ」
・マイケル・ホーンバーグ 「ボング・ウォーター」
・ブレイク・ネルソン 「エグザイル」
・ジェイ・ニコルソン 「波のかなた」
・ジョナサン・レセム「マザーレス・ブルックリン」
・・・・


<スラッカー映画>

・ケヴィン・スミス 「クラークス」
・リチャード・リンクレイター 「スラッカー」
・コーエン兄弟
・ジム・ジャームッシュ
・ガス・ヴァン・サイト
・キャメロン・クロウ



好きな映画ばっかりだ。

と、90年代から00年代までのこれらの作品に出てくる怠惰な登場人物たちは、
労働の質と価値の移り行く過程を反映しているという。
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by thora | 2008-04-01 17:25 |
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